アンを探して Looking for Anne 上映会と監督のトークショー(映画編)

   

先日このblogで少し触れましたが、「アンを探して Looking for Anne」の上映会&監督トークショーへ行ってきました。
先日の記事や監督からのコメントで、この映画のテーマはご覧いただけるので、ここでは、その他の私の感想やトークショーで伺ったポイントなど。
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★アンを探して Looking for Anne
まず、ロケーションが美しい。
小説赤毛のアンの舞台となったカナダのプリンス・エドワード島の自然をバックに物語が進みます。
オープニングからそうなのですが、所々に空撮シーンが使われています。
トークショーでの監督のご説明では、空撮シーンに拘ったのは、吉行和子さん演じる亡くなったおばあちゃんの視線、天国からの視線をイメージしているとか。
観ている私たちも、空を飛んでいるような感覚になります。
そして、マリ(ロザンナ)の住んでいる家(ミセス シュガーのB&B、ちなみにシュガーは、姓が佐藤だから)は、築100年の家を借りたとか。
もちろん、その家には住人がいるのですが、撮影の間だけ他に間借りしていただいたそうです。
マリさんのご主人が建築家との設定だったので、建物には拘ったのでしょうね。
とても素敵なお家です。
主人公の杏里が泊まるお部屋(ピースローズの部屋)は、とっても素敵。
女性なら誰もが憧れそうなオシャレな部屋です。
トークショーの質問コーナーでは、私が音楽について監督に質問しました。
というのも、ジェフが吹いていた楽器。
バスクラリネットの音がとっても効果的に使われていました。
監督の言によると、あのバスクラリネットの音で、画面に映らないところでもジェフの存在を印象づけたのだとか・・・
そういえば、ジェフは杏里のことを父親のように見守っていたっけ。
あ、そうかそうだったのか。よし解った!犯人はお前だ!(違
ここまで書いていて、やっと気がつきました。
この映画を観ていて、なんだか違和感があったのですよね。
というのは、杏里の両親のことが一言も出てこない。
全く存在が無い。
通常こういう家族の結びつきを描くのに無くてはならない存在なのに、この映画では、テーマであるおばあちゃんと杏里の関係以外、実の家族が出てきません。
そうか、そこにこのジェフ(父親)とマリ(母親)を持ってきたんだ。
実の父と母を出したら、この二人の役割が曖昧になる。
逆に言うと、物語の中では、実の父と母が出てきてしまっては邪魔になる。
上手い!よく練られた脚本です。
やられた。
気づかなかった私がバカなのか?
そうか、あのレポーター姉妹が登場するのもそういうわけだったんだ。
これで、縦(親子)の関係と横(姉妹)の関係(コミュニケーション)が描ける。
★パンフレット
冒頭の画像でご紹介しましたが、このパンフレットとってもよくできています。
実は、この時にサインをいただいたパンフレットは、2冊目。
最初にこの映画を観た時に映画館で買って1冊持っています。
サインの入ったものは永久保存版。
映画を観に行くとパンフレットをよく買います。
何を期待してパンフレットを買うかというと、心地よかった映画の余韻に浸りたいのと、その映画が作られた背景を知りたいからです。
しかし、残念ながら中には、期待はずれのも少なくありません。
それに比べてアンを探して Looking for Anneのパンフレットは、一冊の読み物といっても良いほど内容が濃いです。
舞台のプリンス・エドワード島の地図や、劇中に出てくる絵の解説、テーマとなっている薔薇などなど。
監督も仰っていましたが、パンフレットの装丁は、原作「赤毛のアン」の原書を意識して作られたとか。

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復刻版原書
※画像はKomorebi House:復刻版の 「Anne of Green Gables」から拝借
作りも良いし、中身も充実しています。
パンフレットは単なる映画の解説書ではなく、読んだ人がもう一度その映画を観たくなるような物が最高のパンフレットだと思います。
その点でも、このパンフレットは二重丸。
監督のサインが無くてもお勧めです。(^_-)
★映画のまとめ
この映画の一番素晴らしいところは、非常に丁寧に作り込まれた手作りの匂いがする暖かい映画。
なんというか、上手く言えませんが、映画の中に出てくる音楽だとか、建物とか演技だとか、ワンカットワンカット一つ一つが、丁寧に丁寧に人間の手で練って作り上げられた粘土細工のような作品です。
なんでもそうだと思うのですが、技術や経験が無くて失敗したり、間違ったりするのは仕方がない。
だけど、丁寧か、雑かというのは、その仕事に取り組む姿勢、しいてはやる気の問題だと思うのです。
やる気のある者には、例え一度や二度失敗しても教えてあげようとか、応援しようという気にもなりますが、手抜きをするのはその仕事に対して真剣に取り組んでいないという証拠。
こちらも応援する気にはなれません。
う〜ん、今ふと思ったのですが、Appleの製品に魅力を感じるのは、そういう所ではないのでしょうか?
時々失敗しますが(笑)、製品の一つ一つに開発した人の思いが感じられて素敵です。
話が少しそれましたが逸れたついでに。
今、黒澤明監督の七人の侍や「砂の器で有名な脚本家 橋本忍さんの本、複眼の映像―私と黒澤明を読んでいるのですが、黒澤明監督の仕事に取り組む姿勢がいかに真摯であったかが書かれています。
登場人物の性格はもちろん、背中から声をかけられた時の振りむき方から、歩き方に至るまで詳細な人物像を検討してから脚本の執筆に入ったとか。
こういう部分は、ストーリーにはあまり関係のない部分が多いので、とかく端折ったり、曖昧にしてもどうにかなる部分なのです。
徹底した下地作り。
これが作品のクオリティーに現れるのでしょう。
やはり、丁寧に作られた作品は素晴らしい物が多いですね。
そしてラストのシーンはとっても感動的。
私は、観るのが2回目でしたが、来るぞ来るぞと解っていても泣けました。(T^T)
これからご覧になる方は是非ハンカチとティッシュのご用意を。
まだまだ、来年にかけてあちこちで上映されるようですので、こちらのサイトでチェックしてください。
アンを探して公式ブログ:上映劇場
惜しむらくは、尺(上映時間)の関係で、編集で泣く泣くカットしたエピソードなどもあるとか・・・
戦争当時のカナダ兵の様子とかとかアン(おばあさん)とギルバートの出会いとかのエピソードももっと見たかったです。
ちなみにDVD化の話はあるそうなのですが、具体的な時期は未定だそうです。
その節は、是非映画の中には入りきらなかったエピソードなどもいれた「完全版」を期待します。
では、長くなりましたので、続きは「監督編」で。
次回は、宮平監督の知られざる素顔に迫りますよw
YouTubeで「アンを探して」をキーワード検索すると、すっぴん?の宮平監督が見れます。

 - 映画大好き^_^