筋金入りのMac狂信者

      2016/04/26

約7年ほど前のことである。

仕事の関係でとある田舎町に住んでいた。

その町は人口が5,000人ほどの小さな村で、隣近所どころか、町中が知り合いだった。

私たち数人しかいない事務所の職員は、何かと目立つらしい。

しかし、けしてよそ者扱いされていたわけではなく、親切に受け入れてくれた。

ただ、プライバシーというものには無頓着だった。


季節は冬だった。

私の勤めている事務所へ郵便局の人が郵便物を配達に来て、私にこう言った。

「○○さん(私の本名)iMacを買われたんですね~ いいな~。
 いえ、お家の庭にiMacの箱が置いてあったんで分かったんですよ。
 私も、Performerを持っていて、iMacも欲しいんですけど・・・・(以下Macの話)」

私は、その頃華々しくデビューしてたBondi blueのiMacを昨日買ったばかりだった。

狭い借家住まいなので、家の中に外箱を置いておくスペースが無く、しかたなく庭に置いていた。

彼は、今日、私の借家周辺を配達に廻っていて、その箱を見つけたらしい。

imac
[追記]
箱には、それぞれの面にiMacを前後左右から見たところの画像がプリントされていて美しかった
[追記終わり]

通販の配達先に自宅の住所しか書いていなくても、私の職場へ配達物が届くほどの田舎なので、彼が私の名前や自宅を知っていてもさほど驚かなかったが、このあとの申し入れにはちょっとビックリした。

「もし、よろしければ iMacの箱を譲って貰えませんか?」

箱なんか持って行ってどうするんだろう?

と思ったが、当時まだそれほどMacに愛着の無かった私は、どうせそのうち処分しなければならないと思っていたので、差し上げることにした。

彼は、ことのほか喜び、取りに来る日と時間を言い残して帰っていった。

彼がいなくなったと同時に、それまで私と彼のやりとりを聞いていた同僚から大きな笑い声が上がった。

「箱なんか持って行ってどうするんだよ~」「え~!すごいMac狂信者ですね~」等々

私も、ちょっと異常だなっと思いながら苦笑いをした。

数日後、軽トラの助手席に乗って約束の時間に私の自宅へ現れた。

助手席から降りた彼の格好を見て驚いた。

小柄な身体に、もうこれ以上は着込めないだろうというぐらい着込み、顔中を覆わんばかりの大きなマスク、フードをかぶり、眼鏡をかけた奥から愛くるしい目だけが覗いていた。
足下がふらついている。

私があっけにとられていると。

「昨日から ゴホゴホ 風邪引いて ゴホッゴホッゴホッゴホッゴホッ、今病院で点滴・・・ゴホゴホ、どうもインフルエ・・・ゴホッゴホッゴホッゴホッゴホッ・・・・」

 

あんた死ぬぞ!

 

そんなにまでして、取りに来なくても・・・

私は、急いで庭にあったiMacの箱を軽トラの荷台へ積んであげた。

彼は、激しく咳き込みながら何度も礼を言い、どうせ捨てるものなのだからと断ったが、強引に菓子折まで置いていった。

そして、また軽トラの助手席に乗って去っていった。

彼は、今でも iMacの箱を大事に部屋に飾っているのだろうか・・・

え?私ですか?

人から、箱だけ貰うような、Mac狂信者じゃありませんよ。

そりゃあ、そのあと買ったPower Macや、iBook 、PowerBookの箱は大事に取ってますよ。

AirMacやiPodの箱、買った当時のMacのパンフレットも・・・

特に、Macを買ったときに入っていた林檎のシールは、何処にも貼らずに大事に取ってあります。

チビが「これ貼りたい」と言った時は、あわてて取り上げて、目に付かないところに大切にしまいました。

子供は泣いたって、そのうち泣きやみます。

頼まれたって林檎のシールは人にあげません!

 

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