Jazz Time -What a Wonderful World-

   

What a Wonderful World(この素晴らしき世界)サッチモ(Satchmo)ことLouis Armstrong(ルイ・アームストロング)[1901年8月4日- 1971年7月6日]の代表曲の1つ。
ジャズを聴かない人でもこの曲は耳にしたことがあると思います。

Louis Armstrong's Orchestra & Chorus - ザ・ベスト・オブ・ルイ・アームストロング 1 - EP - この素晴らしき世界

作曲:GEORGE WEISS、G. DOUGLAS 作詞:ROBERT THIELE、GEORGE WEISS
1968年が最初のヒットでその後、日本では、自動車(ホンダ・シビック)などのCMで使われたり、映画「グッドモーニング ベトナム」の挿入歌として使われ、現在でも数多くのミュージシャンがカバーし、ジャズスタンダード等で幅広く歌われている歌です。
サッチモは、白い歯をむき出しにしていつもニコニコ、人なつっこい愛嬌を振りまき、一生楽しげに音楽を奏で続けました。

生い立ち

彼は、ジャズ生誕の地、ニューオリンズのアフリカ系アメリカ人が住む黒人街に生まれました。
聞くところによるとこの街のお葬式は、ジャズ葬式(ジャズ・フューネラル)と呼ばれ、教会への道すがらをブラスバンドが賛美歌などしめやかな曲を演奏しつつ行進し、それを聞きつけた老人から子供まで、葬式を楽しみにしている人々が集まってくるそうです。
そして、埋葬が終わると今度は一転して「Louis Armstrong and His Orchestra - ザ・ベスト・オブ・ルイ・アームストロング2 - EP - 聖者の行進聖者の行進」などの明るい陽気な曲を演奏しつつ戻ってくるとか・・・
うろ覚えですが、黒澤明監督作品の映画「」の中の一話でも出演者の名優笠智衆が、葬式について「人間が天寿を全うしてあの世へ行くということは、とても目出度いことだ」と言って踊りながら去っていくシーンがあったように記憶しています。
仏教でも、この世は修行の場であり苦しいのが当たり前、という考え方があります。
当時差別社会の中で生きていたサッチモ達黒人にとって、貧しく生きていくのが苦しい現実から解き放たれる儀式、すなわち葬式とは、目出度いモノだったのかもしれません。
サッチモの母親は娼婦であったと言われています。
父親の顔も知らず、幼い頃から妹と共に働き、住むところも無く路上生活も経験しているそうです。
そんな少年時代、お祭りの時に浮かれてピストルを発砲し、逮捕され、少年院へ。
その少年院のブラスバンドでコルネットを覚えたのが、楽器との出会い。
村上春樹氏の著書「ポートレイト・イン・ジャズ」の中に、こういう逸話が紹介されています。

院内で起床、食事、消灯の合図のラッパを吹いていた係の少年が事情があっていなくなったために、ルイが急遽その役をまかされたのだ。ー中略ー 人々は生活の中に不思議な変化が起こっていることに気づかないわけにはいかなかった。ルイが毎日のラッパを吹くようになってから、みんなはなぜかとても楽しい気持ちで目覚め、とても安らかな気持ちで眠りにつけるようになったのだ。

演奏家へ

少年院を出てからは、彼の演奏が街で評判になり、師と仰ぐキング・オリバー(コルネット奏者)に誘われてシカゴへ。
そしてメジャーデビュー。
当時のシカゴは、禁酒法の真っ直中、アル・カポネなどギャングが横行していた時代、興行権を巡ってトラブルに巻き込まれ、命を狙われたこともあったとか。
彼のジャズへの功績は計り知れないモノがあります。
というよりも、彼がいなかったらそもそも「モダンジャズ」というものは生まれていなかった。
という人もいます。
マイルス・デイビスでさえ「サッチモがいなかったら私は何もできなかった」と語ったといいます。
それまで、野外でパレードなどをして演奏されることの多かったジャズは、2ビートのリズムが主でした。
それを現在のモダンジャズの基本である4ビートに変えたのです。
いわゆる「ウォーキングベース」と言われるジャズの代表的なリズム感です。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』:ビート
米国の一地方の音楽だったジャズを発展させ、世界に広めたのが彼なのです。
また、ジャズボーカルにも影響を及ぼしました。
スキャット」という歌唱法?を創り出したのです。
(レコーディング中に歌詞を忘れたとか、いや計画的だったとか諸説ありますが・・・)
これにより、ボーカルも即興性を発揮することができるようになり、声を楽器のように使うことができるようになりました。
彼の声は、けして綺麗だとは言えませんが、不思議な味があるんですよね。

人種差別

サッチモが米国の親善大使としてアフリカを回っていた際、白人警官に追われ殴打される黒人達を目の当たりにし、演奏を止めたそうです。
また米国で黒人少年が高校への入学を拒否された有名な「リトルロック暴動」の事態を収拾できない大統領を痛烈に批判します。
そして予定されていた親善大使として参加するはずだった政府主催のソビエトへの演奏旅行をボイコット。
このボイコット、サッチモは、「自国の恥を外国にさらせない」との理由からだったのですが、「海外へ行って人種差別の現状を訴えるべきだ」とする黒人から白人の味方をするのか、と批判を浴びるようになってしまいます。

サッチモの音楽

What a Wonderful World(この素晴らしき世界)が1967年に発表された当時、米国はベトナム戦争の真っ直中。
依然として無くならない人種差別。
サッチモ自身は、何度も心臓発作に見舞われていました。
それでも、彼は、「What a Wonderful World」と歌います。
木々は青々と茂り、バラの花は咲き乱れる僕や君のために。
そしてなんて素晴らしい世界なんだと思う。
空の青さ、雲の白さ。明るく祝福される日も聖なる暗闇も
そしてなんて素晴らしい世界なんだと思う・・・

彼の最後のヒット曲、この曲を発表した後、脳梗塞で倒れ1971年この世を去ります。

彼の奏でる音楽は、明るく楽しいモノが多いのですが、聞き終わった後にちょっぴりもの悲しさが残るのは何故なのでしょう。
参考サイト等
音魂大全:- ルイ・アームストロング Lois Armstrong -
日本ルイ・アームストロング協会
サッチモ関連エッセイ集
ワンダフル・ワールド:ルイ・アームストロング ストーリー(DVD)




これまで、Apple関係の記事の後ろにくっつけていた「Jazz Time」ですが、カテゴリーとして独立させました。
いろんな視点からジャズについて書いていこうと思っておりますので、こちらもよろしくお願いいたします。
11月の末にこれ買いました。↓

コルネット
コルネット。
Be Vappのママには「何とち狂ったの?」って言われたけど。(笑)
ジャズをずっと聴いていて、ライブでキャッツメン(ジャズプレイヤーのこと)が演奏しているのを見ていたら自分も何かやりたくなったのです。
ラッパを吹いた経験は全くないのですが、第二のサッチモを目指して頑張ります。(イケメンのチェットベイカーChet Baker - My Funny Valentineか?)オイオイ
まだ音を出すのが精一杯。_l ̄l○
でもこんなに楽しそうな演奏を一度やってみたいな~
Louis Armstrong-Paris Blues

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